仲間の話 チビ

過去の痛みと向き合う

自分の事って、もうよくわかっているつもりになっていた私。

だって、ミーティングで話しているし、向き合ってきた・・長いこと。

だけど、まだまだ私には、未開のジャングルのように、隠された秘境があった。

なぜか、都合良く忘れていたいろんなことがふっと蘇る事がある。今になって、きれいに思い出され、クリーンで痛みと共にまるで、追体験している感じ。

薬を使って使って、使い続けたあの頃。私が付き合っていた彼は離婚歴のある人だった。深くも考えられない私は、自分さえ彼と一緒にいられれば他の人のことなど、どうでもよかった。狭い視野でしか物事を判断できず、何から何まで自己中心だった私。彼の元奥さんは彼と一緒に薬を使い、彼と一緒に捕まって服役。刑務所から出てきたあとは、精神病院を出たり入ったりの繰り返しになっていた。その二人の間には当時20歳になる女の子と17歳の男の子がいてお互いの祖父母が引き取って面倒を見ていた。そういうこと一切は、知っていたけど、知りたくなかったし、はっきり言って私にとって何の関係もない、面倒くさくてどうでもいいことだった。私がその彼と付き合うことが、その子供たちがどんな思いをするかとか、(特にその思春期真っただ中の17才の息子さんにとって・・・)私は考えも及ばなかった。自分と前の奥さんはもうとっくに切れているという彼の説明を鵜呑みにしたかったし、終わったことなんだと簡単に思っていた。

ある時、待ち合わせしていた彼がものすごく時間に遅れてきたことがあった。聞けば、私のところに来ようとした彼の車を奥さんが行かないで!と、車の前に身を投げて止めたという。そのまま彼は奥さんをはねてしまい病院に連れていったために遅れたというのだ。その時初めて、彼と奥さんはすっぱり切れたわけではなくまだつながりがあるのだということを、私は知った。そして彼に思いを残しているということも。だけど、私は目をそらした。奥さんがまるで、この世に居ないようにふるまった。深く考えるのもめんどくさかったし。考えれば、向き合えば、私が引かなければならなくなるから。薬があったから問題を見ないようにするのなんて全然平気だった。

・・・それからしばらくして彼女は自殺した。睡眠薬を多量に飲んで、自殺した。第一発見者は彼だった。恐ろしいことにその当時私は何も感じなかった。えっ?私のせい?まさかちがうよね、そんなの関係ないよね。強いて言うなら全て知っていてやった彼が悪いんだから。私知らなかったもの、会ったことのない人だもの。ちょっと、そんな目で見るのはやめてよ!いろんな思いをフリーズさせながら、今まで以上に薬にはまり、彼も私も向かい合うことにひたすら逃げた。怖くて幾重にも蓋をして生きてきた。

そのあと、彼とすごした日々の中に短い期間だったけど彼の娘さんと、彼のお母さんと一緒に住んだことがあった。そして彼の娘さんにねだられてグラタンを作ってあげたことを思い出した。

ママの作ってくれたグラタンが大好きだったから作って欲しい。と言われ私がかわりに作ってあげた。

あなたからおかあさんをとりあげて、ごめんなさい。あなたからおかあさんとのこれからすごす時間をとりあげてごめんなさい。ママのグラタンをとりあげてごめんなさい。

思えば、私はあれからいつか私も同じ目にあうんじゃないかと脅えながら時を過ごしていたことを思い出した。そしてまさに同じことが起こった。彼はまた新しい女を作って逃げ出したのだ。そして・・私は奥さんと同じ薬を飲んで彼の家で自殺を図った。

ただ、私は目が覚めてしまった。そこから更に苦しい日々が続く。もう、自分の力だけではどうしようもない、生きることも死ぬこともできない・・と底を着くまでまた何年も何年も、かかるのだ。苦しいことが私たちの周りで起こる。起これば起こるほど薬との距離は近くなる。あの頃の私は人間じゃなかった。まさに動物。素直にごめんなさいを言ったこともなく、自分がそうなるまで人の気持ちを考えたこともない、私はあの時何が出来ただろう。多分何もできなかったのだ。今10年以上の月日がたってから、まざまざと思い出した、この思い。でも、本当に忘れていたのかというと、違うと思う。自分で自分を執拗に許せなかったし、大っきらいだったのは胸の奥底にあったこの出来事達が私を責めているのだと思う。今だからあの頃とは違う自分で物事を見れる。私は、なかったことにするやり方をやめて、言い訳はしないで事実を事実と認めて、そして素直に向き合い謝りたい。あの時傷つけたことを。今は思い悩もう、後悔しよう、もっともっと考えよう。そしてその事実を体の中にただ、抱えて私は生きていかなければ、と思う。このことをミーティングで話したとき、いつものように仲間は黙って聞いてくれていた。私と同じように仲間が悲しく思い、悔やむ気持ちを分け合ってくれているように感じた。

実家を離れてもう6年がたつ。今では父母よりも他人の仲間たちの方が家族のように付き合える。母に電話してもなんとなく淋しい気持ちがフっと湧くのは私が薬を使っていた時と家族は時が止まったままなんじゃないかと思えるから?もっと本当の話をしてみたいと思うときがある。なんかお互い気を使ってそそくさと電話を切ってしまったり。本当は仲間の家族のようにプログラムの話やお互いの通っているミーテイングの話・・なんかがしてみたかったなあ〜なんて・・叶わぬ夢を見てしまう。

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