熊本市障害保健福祉課医師 R.I

『子ども再考』  

 消防署で労働安全衛生の話をする機会に恵まれました。消防・救急職員は、日ごろのストレスに加え、危険を伴う消火作業や悲惨な事故の救援活動によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症も多いと言われています。事故の場面を繰り返し思い出したり、不眠や悪夢に悩まされる、イライラして怒りっぽくなったりと、多彩な症状が見られます。兵庫県の調査では、殉職場面に遭遇した職員は、アルコールによってストレス解消する率が有意に高くなるそうです。話がアルコールやギャンブルに及ぶと、お互い突付きあって失笑する職員の姿がみられました。ところで、PTSDの原因となる場面で多いものに、子供の事故や、死の場面があると言われています。子供が自分の子供の年齢に近いと、そのストレスはさらに増します。その人にとってストレスの種類や強さは、その人の立場や年齢に応じて変化すると言うわけです。

 ひきこもりの相談は一時に比べれば減ったものの、ポツリポツリとやってきます。その中でも印象的なのは、子供の不登校や引きこもりで相談を受けているうちに、実はアルコール依存症だったお父さんの暴力に耐えかねたお母さんが、子供たちを連れて逃げ出すと、逃げた先で子供たちが次々と登校したり、アルバイトにいけるようになったりする例です。お父さんの底つきに加え、こんなうれしいおまけがついてくることもあります。こんなおまけつきでなくても、本人のため、相手が配偶者であれ、子供であれ、老親であれ、本人の底つきの重要さはわかっているのですが、家族を説得するときに、私自身以前よりエネルギーを使う気がします。

 「神さま、私にお与えください。自分に変えられないものを受け入れる落ち着きを!」わが子が大きくなって、変えられないものがあることに改めて気づいて、受け入れることに四苦八苦しつつ、この言葉を肝に銘じています。どうしても同じ年頃の子を持つ母親に共感しすぎて、相談に多大なエネルギーを使ってしまいます。「そんなに後始末しては子供のためになりませんよ」何も考えずに言えていた言葉も、ちょっと重く感じます。正直、子供にまつわる相談が、現在もっともストレスです。胸突き八丁、ここを超えればもっと大きくなった私が・・・。 

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